共働きのご夫婦が増えている昨今、お二人の収入合算でご自宅購入を検討することも多くなってきています
ご夫婦で住宅ローンを利用する場合、借入形態によって、夫婦それぞれが「住宅ローン控除」を受けられる場合と、控除は一人しか受けられない場合があります
ここでは住宅ローン控除の「対象になる場合」と「対象にならに場合」を解説してみます
◇住宅ローン控除の制度について
正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、毎年末の住宅ローン残高に対して一定の割合を所得税・住民税から控除できる制度です
控除期間は新築等の場合は13年間、中古住宅の場合は10年間、です。医療費控除などの所得控除と異なり、税額控除ですので、軽減の効果が大きい制度であり、利用する側にとってはうれしい制度です
◇住宅ローン控除が受けられる条件
控除の主な条件は以下のようになります
◎住宅ローンの借主であること
◎返済期間が10年以上であること(繰上返済の場合を含む)
◎所得金額が2,000万円以下であること
◎床面積が原則50㎡以上であること
◎店舗併用住宅の場合は自己居住用部分が2分の1以上であること
◎取得日から6ヵ月以内に入居し継続して居住していること
※条件は年度によって異なる部分がありますので国土交通省のホームページで確認しておきましょう https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
◇夫婦で住宅ローン控除を受けるには?
夫婦で住宅ローンを組む場合には3つの方法があります
【ペアローン】 夫婦が同じ金融機関でそれぞれの名義でローンを借り入れる方法です。 同時にお互いが連帯保証人になります。 この方法では夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられます。同時に二人とも団体信用生命保険(通称「団信(だんしん)」にも加入できますので、万が一の場合にも心強い形態です。 ただし、担保設定費用や事務手数料などが2人分必要となる点はデメリットです
【連帯債務】 夫婦が共同でひとつの債務(ローン)を借り入れる方法です。どちらか一方を主債務者、もう一方を連帯債務者とします。ペアローンと同様にそれぞれが住宅ローン控除を受けられます。 さらに、住宅ローンの契約は1本になりますので、ペアローンのように2人分の費用はかかりません。
【連帯保証人】 夫婦のうち、どちらかが債務者(借入人)となり、もう一方が連帯保証人となる方法です。収入合算して審査を受けますので、借入限度額は1人のときよりも大きくなります。上述の「連帯債務」と同様に契約は1本なので費用も抑えられます。 ところが、連帯保証人は「住宅取得控除が受けられる条件」のひとつである「住宅ローンの借主であること」にあてはまりませんので、住宅ローン控除は受けられません!また団信に加入することもできません。万が一、収入合算した連帯保証人が亡くなったり、収入を得られない状況が発生すると債務者はひとりで従来通りの返済を継続しなければならない事態に陥るリスクがあります。
<まとめ>
住宅ローン控除の適用をうけるためには、夫婦それぞれが借入人となる「ペアローン」のケース、あるいは「連帯債務」のケース、があてはまり、「連帯保証人」は該当しません。 しかしながら、住宅ローン控除を最優先に借入形態を決定してしまうのは早計です。 どの場合にもメリット、デメリットがあります。 不動産の持分をどのようにするか、頭金はどの程度とするか、どの資金をもって頭金とするのか、夫婦で将来にわたって働き続ける前提で大丈夫か、などご家族のライフプランに基づいて住宅の購入を決めることが肝要です。